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この作品の最初と最後にはまるでこの小説の本質が来る戦争によって導かれたかのような描写が入っているのだが、そんなことはなくとても普遍的なことだと僕は感じた。
悪友の輪はとても連鎖的な質のものだというのは僕自身も経験しているからしみじみと感じるものだ。もちろん人生にあって親友ほど得難いものはないのだが、まだ幼いうち、比較的親友を得やすい時期にあると悪友の方が親友よりもよっぽど得難いものに見えてしまう。そして見えてしまうためにその魅力にあてられて悪友の仲間入りしたくなって、自分が悪友となって他の親友を悪友と変えて連鎖してしまう。しかしそれだけがこのすばらしい短編が持っている普遍性だけではない。にわか悪友同士の悪人度の張り合いこそがもっとも滑稽で、同時に切なく僕らの心へ染み入ってくるものだ。
僕はいままで自分自身が誰かの悪友であったことが長かった気がするし、あるいは今もそうかもしれないと申し訳なくなるときがある。しかし悪友は悪友になるべく生まれてしまっている者も多い。この短編の白眉とも呼ぶべき箇所、たった一瞬、本を早く読むことを賢さだと思っているような人では見逃してしまうような一段落のなかに悪友の苦悩や逡巡が描かれている。一見蛇足のようにも見える書かなくてもわかるだろうと言うような描写であるだけに、それをあえて残したこの作家の感性の鋭さを感じた。
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