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僕が人生でもっとも多く繰り返しみた映画は「ユージュアル・サスペクツ」だった。これは16の時ニュー・サウス・ウェールズ州のど田舎で寮生活をしていたとき、その寮にあった僕が日本からもってきたラップトップで再生できるリージョンフリーの映画がそれしかなかったからだった。おそらく人生で最も暇を持て余していたその一年のうち、僕は無駄に起きていた夜中、ときおり寮の外へこっそり密造した蜂蜜酒と煙草を吸いにいきながら(中二病だった)何度も見たのがこの映画だった。ぼくは何度も何度もケヴィン・スペイシーが吐く思いつくままなのか名前以外は本当なのかわからない嘘を聴き続けたし、引きずられる脚が徐々にまっすぐになって攣りそうなほどこわばった拳をほぐして金のライターで煙草をつける彼のしぐさを見たかわからない。いつか気になってウィキペディアで調べて彼がアカデミー賞を受賞したアメリカン・ビューティーという映画があることを知っていたが、どうしてだかレンタルビデオ店に行ってもこの映画を思い出さなかった。
そしてたまたま思い出して忘れてしまわないうちにとyoutubeで借りて見た。なんというかケヴィン・スペイシーの気持ち悪い顔をお腹いっぱい食べられるフルコースだった。彼は結婚後娘も大きくなって免許もとれそうな歳になったくらいになって彼女の同級生に恋をしたのをきっかけに自分自身がどうありたいのかを見いだせるようになる。恋に落ちるのは極端ではあるけれど、自慰にふけるぐらいかえって健全なものだ。どうしてやってはいけないのか。しかし結婚以前の描写がまったくないため、彼のおそらく結婚後の生活とは違っただろう性格がわからない。その時の彼は若く自慰の必要を感じるほどの性欲がたぎってくるまえに目の前の妻となる女性を求めただろう。しかし娘が生まれ妻は強いプライドを持って仕事に挑んでおり、今の彼にそんなことを求められる状況がなく彼は仕方なくお風呂で自慰をする。湯温で精液内のタンパク質が凝固して排水口内につまるから良くないんだぞ、彼にも家庭にも。
もちろん最初のうちの彼は暴走していた。やりすぎていた。自分自身をただ見せるだけのところに立つためにまず過剰に男らしさを見せようと迂回しなければならなかった。その迂回をしているうちに妻は不動産王と不倫してしまう。不倫をして夫を裏切った高揚感から自立を再度保てた彼女だが、カウチで夫に求められたとき、手に持ったビールがこぼれそうでなかったら本当に行為は完遂されたんだろうか。裏切りによる自立を選んだ彼女はおそらく平気でできただろう。手の動きや愛撫の順、速度や声の大きさ呼吸の調子すべてを比較して笑いながら。しかしそこまで行ってしまえばもう戻れなかった。しかしそれが彼の死を変えはしない。のちにファストフード店で不倫現場を目撃し、裏切られていたことを知った彼は何も変わらず、美しく強がりで初な金髪の娘と同い年の女の乳房を見、その美しさと彼女の緊張に感動し同じように毛布でくるんでやり、そして侵入者に殺される。決意の強さの違いだ。どれほどしっかりと妻の銃が握りしめられていたかの差だ。どちらにしろ彼は幸せに死に、アメリカン・ビューティーのつぼみは摘まれない。
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