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新潮新人賞をとった「指の骨」は未読で、書評だけ読んで気になっていた作家だった。

太平洋戦争期を舞台に当時の文学的テーマを現代のフィクションとして再構築する彼のスタイル
このたび読んだ作品はサナトリウム文学をとりあげている
前回の作品に対して、経験もしていないくせに戦争をとりあげてと憤っているレビュアーなどもいたけれど的外れよね
小説の本分は想像と知識で経験を補って一言で言い表せない真実を描くことにある
むしろ当時の作品が往往にして個人的な経験によるもので心象風景は却ってその強い経験に依存されすぎるという芸術的欠点があるのに対してこちらのほうが優れているとすら言えちゃう
僕にはゼロから描かれた彼の作品のほうが自然に受け入れられる部分すらある

結核にかかった妻を病院で看病する話だけど、作品は映画的に仕上がっている
書かれる言葉だけが時代に合わせて旧かなになり昔風のカタカナ語が散りばめられている
当時では当たり前だった死語を今使うことによって異化の小道具として使っているのが興味ぶかい
主人公である夫の妻に対する愛情はわかりやすい。
サナトリウム文学はあまり読んでこなかったけど、横光利一の春は馬車に乗ってくらいわかりやすい
そして主人公と妻を結ぶ愛情は現代的だ
現代の人によって描かれたことで人工気胸術、胸膜形成術といった古い治療がより恐ろしく惨たらしく妻へ振りかかり読者にも突き刺さってくる
二作目までは一作目のスタイルを踏襲していけるので、三作目でどうなるのか楽しみで、僕はとくに長編を読んでみたい
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