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安いバーボンをソーダで割って飲んでいて、本を読んでその存在を忘れて、読了してふと口付けようとしたら羽虫が死んでうかんでいた。羽虫は着水する程度では死なない。アルコールが殺したのか、氷の冷たさが殺したのかわからないが、ぼくはそれを飲んでいた。

くだらない序文はさておき、とてもいい作品を読んだ。
もうまったくもって現代文学の特徴をつかみまくった小説だと思う。
主人公の女性が、叔母の今わの際に語った自分という人間が十七八だったころの印象を、自分自身の記憶を足しながら報告していく複雑な構成をとっている。文章は饒舌でところどころ衒学的で、時間軸は追憶する主人公がいる現在と叔母の語った過去とをうろうろしながら情報を氾濫させていて、読むのにだるさを感じさせる。そのだるさの中で急に性的な描写、滑稽な描写、集団が引き起こす問題などの描写が現れて、読む側にめりはりをつけさせてくる。
とくに焼肉屋での家族劇と病院でのトラブルはシーンとして際立っていた。
またぼくはこの作品は眼科院内での叔母との対話による文学論と、その他シーンにおけるそれらの実践の二段構成であるように感じられた。その分多少文学論的な部分が比喩的すぎて意味をつかむのに疲れてしまうところもあるが、デビュー作なんだから極端であってこそだと思うからすくなくとも僕はマイナスには思わなかった。
テーマは人のために在るもの意義だろうと読了した直後は思ったけど、もういかにもな現代文学のずるいところは読み手が解釈しようと試みれば試みるほど、作品自体は遠ざかって判断しようとしたこちらを陳腐なもの扱いしてくるところだ。
とりあえず、短いシーンでもはっとさせる文章の力を持っている人だから、これを長編にさせる持久戦に挑むか、いまの短いシーンの描写力でもって短編をつくるか、どちらであっても読みたいと思う。

気に入った言葉
「生意気言わないで。あんたのお喋りははぐらかすのが目的。私は、伝えたいのよ。そのためには、どんな言い方したってかまわないと思ってるだけ。ぜんっぜん、ちがうでしょ」

「ホントいやになる。いつかめちゃくちゃに傷つくに決まってんだから。気の利いたことを言いたいだけ。ホントもウソもおかまいなしで、とにかくふざけてる」
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