単一民族国家においてそれ以外の血を持った人間が生きるというのはとても難しい。なんつっても目立つし。そして目立つということは目立たずに平穏に生きたい人間にとってそれだけで大きな弱点だといえる。僕なんかは白人と日本人が半々だし最近はそういう人も増えて来たようだからいいとしても、この小説の主人公ターリクは紛争中の国の人で、しかも不法入国でひっそり滞在しつづけなければならない理由があって、そして日本語はさっぱりできない。濃厚な異文化の中にたった一人置かれる。今まで日本は異文化を眺めるばかりの立場の小説ばかりだったけど逆に日本が異文化として見られる小説はあまり多くはない。今ぱっと思い出せる分では例えば村上龍の「半島を出よ」や遠藤周作の「沈黙」だろうか。そしてここに描かれているもう一つのテーマは最後の章の題からもわかるけど、都会の力だろう。途上国から先進国に、文化圏の違う異国に、自分の想像を絶する発展をした大都会に今自分が立っていると言うこと、そしてそこにほっぽりだされて生きなければならないこと。そしてそこに生きることに成功したとき、人は故郷をどう思うのだろうか。

読んでいて感じたけど渾名は第三者から見るととてもださいものだね
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